私たちオリスのための修理工房に、最も多く寄せられる修理のご相談は、脱落や、折れによって損なわれたリューズの機能を取り戻す作業です。この多くは、純正部品を用いて取り替えることになりますけれども、ごく稀にパーツの入手が叶わないこともございます。
お客様のご希望に添うか、分かり兼ねますけれども、私たちオリスのための修理工房は、純正品よりも信頼している、いわゆる社外品のパーツをご提案することもございます。これはリューズに限った話ではございませんが、十分な強度があり、長年の使用にも耐えられるものをアジア圏のルートを通じて仕入れ、必要に応じて使わせて頂いております。お気に召せば幸いです。
さて、リューズの動きが宜しくない、あるいは全く動かないということであれば、まだ良いのですけれども、もし芯から抜けてしまったり、脱落をしてしまった場合は注意が必要でございます。ガラス交換の項でも述べましたように、オリスに限らず機械式の腕時計は、時計内部の回路が金属製の部品で構成されております。これらに錆びや腐食が進んでしまいますと、リューズだけでなく歯車や軸受けなどにも手を入れねばなりません。
したがいまして、お手持ちのオリスのリューズにトラブルが生じた時は、できるだけ時計の修理専門店にお持ち込みください。ご多忙ゆえに、なかなか足を運べない場合は、乾燥剤を入れたタッパー、ジップロックなどに収めてもよいかと存じます。機械式の腕時計に湿気は禁物でございます。
最後に、オリスのリューズ交換にかかる費用は、パーツの代金と工賃を含めて、概ね20,000円から30,000円ほどとお考えください。また組み付けをやり直すことから、オーバーホール(分解修理)を同時に行われますとコストパフォーマンスが良くなります。お客様のご予算や、お時計のメンテナンス・ポリシーに応じるように努めたいと考えます。